【 お ま け 】

100年先に、競輪事業が存続するために一役買う

コラム:わたしの夢

『100年先に、競輪事業が存続するために一役買う』

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経済産業省の発表によると、競輪事業の売上は、平成3年度のおよそ1兆9300億円をピークに減少の一途をたどった。この5~6年こそ若干(ほんとに少し)盛り返してきてはいるものの、完全に右肩下がりで、平成28年度の売上がおよそ6346億円である。ピーク時の1/3にも満たない。 (平成28年度売上前年度比100.6%)

ちなみに、競輪選手の数はこの10年で3500~3600人程度から2300~2400人程度に減少している。

おなじ公営競技である中央競馬やボートレースとのヨコ比較もしておきたい。

中央競馬
➤全盛期の平成9年では4兆円を超えていたが、現在は2兆6000億円台。それでも6割以上はキープしている。 (平成28年度売上前年度比103.4%)
ボートレース
➤平成3年が全盛期で2兆2000億円台が、平成22年には8000憶円台まで減少。競輪と同じくおよそ1/3まで下がっている。だがしかし、平成30年なんと1兆3700億円台まで上昇するV字回復ぶり。 (平成28年度売上前年度比106.6%)⇨ さらに翌年、翌々年と各年10%以上の上昇

以上のデータそしてヨコ比較から、たいへん残念ではあるが、競輪事業の置かれている状況はかなり厳しいと言わざるをえない

バブル期からの30年の長期のスパンで見ても、ここ数年の短期的なスパンで見ても、競輪事業そのものの数字が悪いということもさることながら、中央競馬やボートレースといったほかの公営競技にも、かなり水をあけられてしまっているのが現状である。

さらに、黒船(casino)襲来にも備えなければならない。

問題はここからである。

では、いったいどうすれば数字は上がるのか!?

数字がなければ、100年後の競輪存続はあり得ないのである。

順を追って、考えていきたい。考えるべき大きな枠組みとしては3つ。

  1. 施行者について
  2. 選手について
  3. ファンについて

1.施行者について

施行者サイドの施策は、近年かなり大掛かりに行われている。ガールズ競輪やミッドナイト競輪(インターネット専用)、選手の削減とそれに伴う開催日数の削減などだ。かなりの施策を打っていると感じるし、これらについては結果もともなっている。。ただ、競輪事業の柱は当然であるが、S級戦であり、かつ、G1,G2,G3などのグレードレースである。ここをどうするのかが最重要ポイントだ!

来年(21年度)には、G1オールスター競輪が現行の昼間5日制から、ナイター6日制開催に変更されるとのこと。G1競輪祭ナイター化に続いてだ。TV放送もされるのだろう。一般的に昼間開催よりもナイター開催のほうが売上はかなり落ちる。そこは開催日数を増やすことで対応なのだろう。選手にしわ寄せはいくだろうが、是非がんばって頂きたい。TV放送するなら、広告料もかなりつっこむことになるだろう。しかしながら、競輪場という極めて閉鎖的な空間が、競輪のことを知らない人々の目に触れることは、今後を考えていくうえで最も重要なことにほかならない。

つまり売上が落ちる、かつ、広告料もつっこむというふたつの大きなデメリット。しかしながら、G1オールスターという競輪界の人気選手の集まるこれ以上ない舞台で、競輪が競輪を知らない新しい人々の目に触れるというチャンスを得ることになる。新しいファン獲得のために、リスクを背負って挑んでいるのである。これ以上いったいどうすればいいのでしょうかといえるくらいの施策だと感じられる。リスクを背負わなければ、大きなリターンは得られない。それは競輪ファンである我々がよくわかっている。

2.選手について

一般的にいって、国の施策であるなら未来のことを考えたときに、絶対外してはならないことはこどもの教育である。競輪事業にあてはめると、ある意味、それは選手の教育だと感じる。競輪選手になるにはかなり厳しいとされる競輪学校を卒業せねばならない。同時に競輪界には師弟制度が存在する。競輪選手になりたい人間は師匠のもとに弟子入りするのである。かつてF1先行の異名をとった吉岡稔真氏の弟子をとるときの言葉を借りる。

ひとの人生を預かるわけだから、自分がタイトルを1個減らしてでも、ノンタイトルになってでも、コイツだけは早く学校受からせて、早くプロにさせないといけないと思って受けた。

これには、これ以上説明は不要と思うが、競輪選手においてもこれ以上どうすればいいのかといえるくらいの環境が整っているように感じられる。

3.ファンについて

ここでいうファンとは、競輪にお金を賭けるひとと定義したい。つまり顧客である。

どんな商売でもそうだが、お金を落としてくれる顧客がいなければ成り立たない。そして、競輪事業はこの記事の冒頭で触れた通りかなり厳しい状況にある。

このファン(顧客)についてを考えていくにあたっては、冒頭で挙げた公営競技のいいところ、悪いところから検証していき、なぜ競輪だけ数字がでないのか、また、どうすれば競輪の数字がでるのかを探るというプロセスで、その答えにリーチしていきたいと思う。

最初に競馬についてだが、わたしは競馬のことはまったくわからない。そのわたしから見て思う競馬のいいところは、輝く芝生のうえを駆ける馬そのものの美しさにあるように感じられる。競馬とは関係ないが乗馬も流行っていると聞く。つまり馬や競馬場を美しく感じるという情緒的な部分である。

一方、競馬の悪いところはといえば、やはり18頭もいればなかなか当たらない。少なくとも、公営競技のなかではもっとも当たる確率が厳しいだろう。しかしながら、逆も真なりで、なかなか当たらないことは、大穴がでたときの超高配当を意味する。100円が1千万円以上となる配当が飛び出すこともある。つまり射幸心が煽られるのである。

いずれにせよ、数字をあげていくにあたっては、情緒の部分や射幸心を煽る部分はかなりの武器になるといえる。

次に、ボートについて。よいところは、これは当たりやすいところではないか。6艇しかない。サイコロの目の数とおなじだ。サイコロを振って出目を当てるのと同じ数字だ。しかも、1の目がけっこうな確率ででるという。当たれば快感なのでまたやりたくなるという理屈は理解できる。数字をあげるにあたって、初心者的にも、儲かるかどうかは別問題として、当たりやすいというのはとてもいいことだと感じる。新規の数字につながりやすそうだ。

最後に競輪について。

基本、9車。数字的にいえば、競馬よりは当たりやすいが、ボートよりは当たりにくい。ボートより数字が3増えただけであるが、この差は大きくけっこう当たらないものである。6艇なら3連単で120通りの組み合わせだが、9車ならなんと4倍以上の504通りもある。そのなかからたったひとつの当たりの組み合わせを考えねばならない。競馬とボートの中間で微妙なところだ。

では、競輪のよいところはなにか?

これは、競輪ファンの多くが胸に感じているところだと思うが、武田豊樹選手の著書『競輪選手 博打の駒として生きる』から一部抜粋で引用させていただきたい。

競輪は「ギャンブルの終着駅」とも呼ばれるほど、ギャンブルファンのなかでも一目置かれています。それはただ難解だからという理由ではなく、難解だからこそ一度覚えてしまったら引き返せないという意味合いも多分に含まれているのだと思います。

人が体を鍛え、人が作戦を立て、人の力で走り、選手間における人の好き嫌いや上下関係までがレース展開に反映されます。いわば競輪には、様々な人間模様が詰まっている。業界内では、「競輪は人生の縮図」とよく言いますが、まさにその言葉は的を射た言い方でしょう。そんな人生の縮図の”攻略”を追い求め、選手も車券を買ってくれるファンも、競輪が持つ奥深さにどっぷり浸かっているのです。いや、僕ら選手もファンも、憑かれているのかもしれません。その正体こそわかりませんが、なにかに憑かれているという気すらしてくるのです。

競輪の魅力は、その正体こそわからないが、競輪の魅力を理解するのは難解であるということがわかる。

これこそが!競輪のよいところである”非常に難解であるこの競輪の魅力”こそが、逆に新規の数字の壁になっているように、わたしには感じられるのである。

個人的な感覚でいえば、初心者のかたが競輪を予想していくにあたり、競輪選手の人間模様を踏まえて、選手の脚質なども覚えて、レースを展開予想して、実際のレースがある程度みえてくるようになるまで、少なくとも半年程度はかかるように感じる。それでも最短な気がする。

つまり、新しいファン(新規顧客)を獲得するには、見込み客である競輪に触れたひとたち、ないしはTV放送やCM(TV、ネット)などで競輪を目にして興味をもってくれたひとたちに、この難解である競輪の魅力を理解できるようになるまでのサポート体制を提供することが求められるとわたしは思う。競輪の魅力さえ感じてもらうことができれば、リピーターとしては長期間にわたってのリピーターとなってくれることが期待できる。実際、当のわたしがそうである。

ですので、

『 投資競輪.com 』では初心者のかたでも、競輪の魅力を感じてもらえるように、当ブログを設計することに努めています。今後、G1ナイター中継や2020年東京オリンピックなどで競輪やKEIRINをみて、少しでも競輪に興味をもつひとがでたとき、Googleの検索エンジンで”競輪”を検索したかたがこのブログに辿り着くかもしれない。そのとき、もしも少しでも競輪の魅力を理解してくれることに、このブログが役立ったなら、そして、競輪の新しいファン(リピーター顧客)がひとりでもできたことにこのブログが貢献できたなら、望外の喜びです。

最後になりますが、近年、競輪に限らずギャンブルについて「ギャンブル等依存症」の問題があげられています。当ブログではこれについても、しっかりと考えていきたいと取り組んでいますので、是非ご一読よろしくお願い申し上げます。

( 2020年 3月 投資競輪.com 管理人 記 )