【 お ま け 】

襟首を正す

書籍の紹介です。

『きみは誤解している』 佐藤正午著

『実家に帰ってあたしはあなたのことを両親になんて話せばいいの?』

『あたしが結婚するひとは正月から競輪が忙しくて会ってもくれないと言えばいいのね?

それはいい、そんな男は見所がある、一生離れずについていけって、あたしの親が答えると思うの?』

なんという強烈な台詞を使うのだろうか。

まったく、しびれる台詞だ。

『あと1時間でなにが終わるの?

どこが最後なの?

8レースのあとには9レースがあるじゃないの』

まったくもって、揺るぎない事実である。

『嘘よ。最後になんかなるわけない。もし当たったら次のレースに賭けようと考えるし、もしはずれても、また最初からおなじことを繰り返すのよ、麻薬と同じよ、あなたはギャンブルの味を覚えてしまったんだわ』

もはや、昇天だ。

この本は、日常のなかで忘れかけた、たいせつな感情を一瞬で思い起こさせてくれる。

日常的に勝負している人間にとっては、マンネリ化してきたときや、特に大きく勝っている直後など、この本を手に取るタイミングとしてはいいのではないだろうか。

せつない6つの人間ドラマがつまっている。

強くお勧めしたい1冊である。